決済系SaaS「Fiska」は、紹介経由の顧客獲得しかできていなかった状態から、AI検索対策を含むコンテンツ戦略で約14ヶ月の取り組みで140件のリードを獲得、コンテンツのROIは有料広告の64倍という成果を出しました。可視性が伸びたという話に留まらず、商談・パイプラインという収益に近い指標まで一次ソースで追える、数少ない事例です。

この記事のポイント
  • Fiskaは約14ヶ月の取り組みで140件のリード、うち57件を商談化まで進めた
  • コンテンツのROIは64倍、同時期に試した有料広告のROIは5倍だった
  • LLM可視性は当初4%から53%まで伸び、LLM経由リードは3件→14件に増加
  • 直近6ヶ月(広告費ゼロ)だけで7桁ドル規模のパイプライン価値を生んだ
  • 成功の起点は可視性向上ではなく、「何が商談につながるか」を先に定義したこと

Fiskaが抱えていた課題

Fiskaは、SaaS企業向けに決済機能を組み込める埋め込み型決済サービスです。StripeのようなドメインパワーAIの強い競合や、複雑な自社構築という選択肢の間で、顧客に選ばれる立場を模索していました。

2024年にコンテンツ戦略のパートナーを探し始めた時点で、Fiskaが抱えていた課題は3つありました(出典:Mint Studios ケーススタディ)。

CEOのPatrick Huynh氏は「社内にマーケティングの専門知識もリソースも、継続的に実行する規律もないと気づき、その部分を埋めてくれる代理店と組むことにした」と述べています。

何が起きたのか:数字で見る成果

リードは0件から、約14ヶ月で140件・うち57件が商談に進んだ

2024年6月に取り組みを始めた時点で、Fiskaのサイトが生み出す新規リードは0件でした。新規顧客はすべて紹介経由で、他のチャネルからの流入はありませんでした。

2025年2月から2026年3月までの約14ヶ月間で、Fiskaは合計140件のリードを獲得し、そのうち97%が施策側(紹介以外の全チャネル)からのものでした。140件のうち約39%が商談(opportunity)化し、合計57件の商談につながっています。月あたりの件数に均すと10件程度ですが、後半にかけて伸びが加速しており、月間リードは0件から25件程度まで積み上がったと報告されています。1件の商談が数十万ドル規模の売上になり得るビジネスモデルであるため、この数字は事業インパクトとして小さくありません。

コンテンツのROIは64倍、有料広告は5倍

Fiskaはコンテンツ施策と並行して、約6ヶ月間、有料検索広告も試しました。しかし競合のStripeやAdyenが広告費を大量投下している領域だったため、6ヶ月の広告出稿で商談化したのはわずか2件でした。

一方、コンテンツ施策のROIは64倍に達し、広告のROI(5倍)を大きく上回りました。SEOとLLM可視性への投資に舵を切ってから、リードが本格的に伸び始めています。

直近6ヶ月は広告費ゼロで7桁ドルのパイプラインを構築

広告出稿をやめた直近6ヶ月間だけで見ると、オーガニックコンテンツ単体で22件、AI経由・直接流入で28件、合計50件の商談が生まれ、7桁ドル規模のパイプライン価値につながっています。広告と違い、公開したコンテンツは出稿を止めても検索やLLMの回答に残り続けるため、一度つくった資産が積み上がっていく点が広告との決定的な違いです。

LLM可視性は4%から53%へ、LLM経由リードは4倍以上に

Fiskaが最初に追跡を始めた時点で、ChatGPT・Claude・Geminiなどに関連する質問を投げても、Fiskaが回答に登場する割合はわずか4%でした。1年弱が経過した2026年4月時点で、50以上の高意図プロンプトに対する登場率は53%まで伸びています。

可視性の向上は、実際のリードにも反映されました。2025年3月時点でLLM経由と特定できたリードは3件でしたが、1年後には14件、4倍以上に増えています。Fiskaは問い合わせフォームに「当社をどう知りましたか」という設問を設け、LLM経由の流入を直接計測できる仕組みを作っていました。この計測の考え方は「AI検索対策の効果はどう測る?」で解説しているnitoの推奨アプローチとも一致します。

なぜ成果が出たのか:3つのポイント

1. 最初から「商談につながるか」で設計した

Fiskaの取り組みが他と違ったのは、トラフィックや表示回数といった見栄えの良い指標を目的にしなかったことです。開始前に、1件の商談の価値や会社の売上目標をヒアリングし、何が事業の成果につながるかを先に定義してからコンテンツ戦略を組み立てています。トラフィックの絶対数は同業他社と比べて低い水準ですが、Fiskaは狙った相手に届く記事で高い転換率を実現しています。

2. 検討の最終段階(BOFU)のキーワードに絞った

Fiskaが狙ったのは、「導入を決めかけている人が検索する言葉」でした。「〇〇の代替となる決済サービス」「SaaS向け決済の内製化と外部委託の比較」のような、購買の意思決定に近いテーマです。認知系の記事はAI Overviewsの要約だけで完結されやすいのに対し、意思決定の直前にある具体的な内容はAIの要約では代替されにくく、実際の流入減少の影響も受けにくかったとされています。

3. 広告で結果が出なくても、コンテンツに軸足を移す判断をした

競合が広告費で圧倒する領域でも、Fiskaは早い段階で広告偏重をやめ、コンテンツとLLM可視性に集中投資する判断をしています。この判断が、資産として積み上がる成果につながりました。

事例から得られる示唆

Fiskaの事例が教えてくれるのは、LLM可視性の向上そのものをゴールにせず、商談・パイプラインという事業の数字にどうつながるかまで追う姿勢が成果を分けるという点です。可視性だけを追う施策と、収益までを見据えた施策では、同じ「LLMO対策」という言葉でも中身がまったく違います。

nitoが「目指すのは言及率ではなく収益」で主張しているのも、この考え方と同じ方向です。

事例のような成果を、収益起点で目指すなら

可視性の向上を、商談・パイプラインという事業の数字までつなげるには、施策の設計段階から「何が収益に効くか」を定義しておく必要があります。

nitoは、Fiskaの事例のように、言及率の改善で終わらせず、収益に近い指標まで見据えたAI検索対策を伴走支援します。

nito の AI検索対策(LLMO / AEO)

戦略や施策リストをつくって終わる支援では、成果になりません。nitoは記事作成・外部メディアへの掲載依頼・モニタリングまで実行し、まるで社内の担当者のように領域を推進します。言及率の改善で満足せず、お客様の売上・収益につながる成果まで一緒に目指します。

  • 戦略設計から記事作成・外部掲載・モニタリングまで実行・推進
  • 手前の指標で終わらせず、売上・収益につながる成果にこだわる
  • 誰にどんな価値を届けるかのポジショニングから設計(小手先のAIハックはしない)

まとめ

Fiskaの事例が示す通り、AI検索対策は単なる可視性向上の施策ではなく、収益に直結する事業インパクトを生み出せます。リード0件から140件、ROI64倍、7桁ドルのパイプラインという成果は、可視性を追いかけたのではなく、事業の数字から逆算して設計されたからこそ生まれました。

自社の施策を考えるときも、「言及率が上がったか」ではなく、「それが商談や売上にどうつながるか」を最初に定義することから始めましょう。

よくある質問

Q. Fiskaの事例は日本国内でも再現できますか?

基本的な考え方(商談につながる指標から逆算して設計する、検討の最終段階のテーマに絞る)は業界や国を問わず応用できます。ただし言語やAIの学習データの違いにより、具体的な数字は変動します。

Q. 可視性が上がればリードも自動的に増えますか?

必ずしも自動的には増えません。Fiskaの事例でも、可視性の向上とリードの増加を結びつけるために、問い合わせフォームで流入経路を計測する仕組みをあわせて構築しています。

Q. 広告とコンテンツ、どちらを優先すべきですか?

競合が広告費で圧倒する領域では、広告のROIが下がりやすい傾向があります。Fiskaの事例では、広告のROI5倍に対しコンテンツは64倍で、資産として積み上がる点も含めるとコンテンツの優位性が大きくなっています。

Q. どのくらいの期間で成果が見え始めますか?

Fiskaの場合、着手から1年弱でLLM可視性が4%から53%まで伸びています。ただし業界の競合状況やコンテンツの質によって幅があるため、継続的な観測をしながら判断することが前提です。

Q. 小規模な企業でも同じような成果は出せますか?

Fiskaもドメインオーソリティが低い新しいサイトからのスタートでした。規模より、商談につながる指標の定義と、検討の最終段階に絞ったコンテンツ設計が効果を左右します。